【ライフカード株式会社様】
プリペイドカード「Vプリカ」アプリ開発
サブスク開発を選んだ理由と効果
クレジットカード事業・プリペイドカード事業を展開するライフカード社が提供するプリペイドカード「Vプリカ」。クレジットカード保有者・未保有者どちらの決済ニーズにも応えるサービスとして人気となっています。ライフカード社では、Vプリカのスマートフォンアプリも提供していましたが、いくつかの不具合のために一時提供を停止していました。その後、新たにアプリを再構築するべく、開発パートナーにサブスク開発を選定。2022年12月に新バージョンをリリースし、高い評価を得ています。開発体制も含めたアプリ再構築の背景についてお聞きしました。
「Vプリカアプリ」の詳しい情報(外部リンク)ライフカード株式会社
プリペイド推進部プリペイドカード推進課長 椎奈様
ライフカード株式会社
プリペイド推進部プリペイドカード推進課 冨岡様
ライフカード株式会社
プリペイド推進部プリペイドカード推進課 冨岡様
金融事業会社ではなく、IT企業への転身を目指すライフカード社
ライフカードはクレジットカード事業を主とした企業です。ほとんどの従業員がクレジットカード事業に携わっており、同事業では、お客様にクレジットカードの利用を推進する業務と、クレジットカードの加盟店を増やす業務に大きく分かれています。現在、500万人以上のお客様にライフカードが発行するクレジットカードをお持ちいただいています。
私たちの運営しているプリペイドカード事業は少数で、本社の企画スタッフ10名ほどで構成されています。プリペイドカード「Vプリカ」は、2011年6月にリリースしたサービスで、これまで累計1,800万枚発行しており、取扱高は弊社クレジットカードには及びませんが、新たな需要に応える商品となっています。クレジットカードは与信事業ですので、ご入会いただける年齢も法律で定められていて、収入のない方はご入会が困難です。Vプリカはコンビニなどで気軽に購入いただいて、クレジットカードと同じようにVISA加盟店で使えるので、ゲームや配信サービスへの課金、コンサートのチケット購入に利用される未成年の方や、クレジットカードの審査が通らない方に需要があります。また、クレジットカードをお持ちの方でも、オンラインで購入する際に、メインのカードでの決済に抵抗があるようなケースでご利用いただくこともあります。Vプリカは人気のスマホゲームのアイテムを購入できるというやり方が口コミで広まって売上を伸ばしてきた経緯があります。今では大手ネットショップでのお買い物に利用される方も多くなっています。
<Q:近年、ITシステム開発を内製化する動きがありますが、御社はどのような体制になっていますか。>
弊社では、金融事業会社がITを使うのではなく、IT企業になって金融事業を展開するといった挑戦をしています。そうしないと時代の変化やお客様の多種多様な要望に応えることができないと考えているからです。以前はすべて外注していたものも、今では一部グループ内で取り組めるようになっています。
お客様接点となるWebサイトやアプリのユーザーインタフェースを作るコミュニケーションデザイン課と、Webサイト運営を担当するデジタル推進部があり、よりスピーディーにサービスを提供できるような体制になっています。基幹システムなど、専門性の高い部分はシステム開発会社の方に常駐いただいている状況です。
配信停止をしたVプリカアプリの再構築プロジェクトを開始
Vプリカのアプリについては、2019年3月にリリースし、2020年の12月に配信を終了した経緯があります。当時のアプリは不正利用や不具合が多く、結局それを解決できず、提供を止めました。
前バージョンのアプリの問題点として1つは不正ログインがあげられます。今では当たり前の二要素認証がなく、追加開発もできない状況で、以前のバージョンの配信を断念せざるを得なかったのです。
また、OCRの認識率の悪さも問題でした。購入したコードを入力する際、英字の大文字・小文字の混ざった認証番号を読み込みする機能がうまくいかず、お客様にご迷惑をおかけました。
その後もWebブラウザからVプリカのサービスは利用できたのですが、利用者数が伸び悩んでいました。お客様からもアプリの復活を望む声をいただいていましたので、2021年10月ごろからアプリの再開発を検討するようになったのです。
しかし、グループ会社のアイフルやライフカードのクレジットカードのアプリは内製化の体制ができているのですが、Vプリカのアプリをゼロから再構築するにあたっては外部のプロフェッショナルの手をお借りしようと考えました。以前とは違って、Vプリカをお客様にとって使いやすいものにするべく、社内で企画や要望をまとめて、技術背景も理解するような体制で進めようとしました。
技術課題をクリアし、OCR認識率やセキュリティも向上
最初のバージョンを開発された企業も含め、弊社とつながりのある企業等、数社が候補となりました。そのうち、コストやスケジュール面で2社に絞り、最終的にサブスク開発を提供するスマートアイデア社に依頼することにしました。同社はアプリの専門企業であり、Vプリカアプリの再構築のための技術課題について相談もしていて、そこでいろいろと受け止めていただいたことも採用の理由です。
以前のアプリの環境がなくなっているので、再構築の検討は困難でした。特に、勘定系のシステムとの連携が不明で、それに対して、サブスク開発のメンバーは勘定系システムの仕様を調査し、それと接続するAPIを開発していくプランを提案いただきました。アプリの開発が決まる前でしたので、そのような困難な状況からご一緒いただき、関係を構築したのが依頼の決め手です。
<Q:サブスク開発への依頼が決まって、どのように開発が進みましたか?>
開発は2ステップに分けて行いました。最初のステップは、勘定系サーバーに接続しないものを3ヶ月ほどで作って、弊社のさまざまな部門で動作テストをしました。ライフカードのアプリ開発部門やデザイン部門など、社内のアプリ提供に精通するメンバーなどさまざまな人たちに意見を聞きました。そこで上がった要望や意見の優先順位を決めて、次のステップに進みました。環境の準備で時間がかかることもありましたが、サブスク開発のプロジェクトマネージャーがスケジュールをしっかり管理していて、ターゲットのリリース目標である2022年12月12日に間に合いました。
大変だったのは、以前のバージョンでも問題となったOCRの認識率です。90%程度と聞いていたのですが、初期のバージョンでは16桁のうち15桁は合う、といった形で毎回間違いが生じるので使用に耐えられない状態でした。しかし、サブスク開発の技術メンバーから、2つのOCRエンジンを利用して精度を高める案をご提案いただき、認証番号のロジック補正とあわせて適用したところ認識率が格段に改善されました。
私たちは営業職ですので技術の専門的なことはわからないので要望を出すのみでした。しかし、サブスク開発の専門家の皆さんは要望を要件として定義して実装してくれますので非常に助かりました。
勘定系のベンダーとの調整でもお世話になりました。私自身は、2021年10月にプリペイドカード推進課に異動して、右も左もわからない状況でしたので、アプリをどう復活させられるか悩んできたのですが、調査までしていただき、進めることができました。しかも、進捗や技術の背景もご説明いただき、私たち自身もアプリ開発の業務について深く理解することができました。
今回のアプリ再構築は、ユーザビリティの改善もポイントですが、セキュリティ面が盤石になったのも大きな進歩です。コードレベルでシステムの脆弱性を診断するなど、セキュリティに詳しいメンバーがいるのも心強いです。
入念にテストはおこなっていたのですが、リリース直後にいくつかの不具合が起きました。しかし、その原因をすぐに紐解いていただき、12月12日のリリースから20日くらいまで細かな修正も含めて、ほぼ毎日アップデートをかけるくらい迅速に対応いただきました。
サブスク開発のプログラミングは、ベトナムのエンジニアが行っていますが、その調査能力と対応スピードが優れていると感じています。また、国内には、プロジェクトマネジメントに加え、システム開発やセキュリティ、デザインなどアプリ開発のさまざまな技術に詳しいアライアンスメンバーがいますので、不具合にも素早く対応できたのだと思います。アプリはiOS版とAndroid版があって、それぞれのOSで生じる不具合もあります。AppleとGoogleへのアップデート申請も含めて対応いただけるのは心強いです。
おかげさまで、予想していたダウンロード数を大きく上回り、リリース後1ヶ月の実績はiOS版もAndroid版も1万件を超える状況で、予想の150%と好調です。お客様の期待が大きかったのだと感じていますが、アプリストアでのレビューも4.4点をキープするなど、新しいバージョンの評価も高く、「待ってました」「圧倒的に使いやすくなった」など、温かいコメントもいただいています
<Q: 無事再スタートしたVプリカアプリの今後の展望についてお聞かせください!>
今後はVプリカに触れられなかったお客様にも魅力を伝えていきたいですね。いままでは控えていましたが新しいアプリと共に自信をもってVプリカをプロモーションできます。アプリのユーザーが増えれば、アプリ自体をメディアにしてお客様とコミュニケーションし、利用促進に繋げられると思っています。Vプリカのサービスをアプリ中心に展開していきたいと考えています。
<Q: 今後、アプリを開発したいと検討されている会社さんも多いと思うのですが、今回経験して、アドバイスありましたらお願いいたします。>
私たちの部署は、10名ほどの組織ですが、アプリ開発においては素人集団です。サブスク開発のメンバーは、「この機能が欲しいのです」といった私たちの要望を、しっかり要件・仕様としてまとめて、開発していただけます。技術に詳しい技術者やセキュリティに詳しい専門家がいて、何をやりたいのかをはっきりさせながら、開発をすすめられます。発注者とベンダーの関係ではなく、1つのチームとしてできるのが、サブスク開発を採用してよかったことです。
サブスク開発は、リリース後もメンテナンスプランがあるので今でこそ、弊社にもシステム開発メンバーがいますが、社内にそういったシステム開発メンバーがいない状況でも非常に助かります。同じチームとして、一緒に事業を成長させていけるのがサブスク開発のポイントです。私たちも、技術の背景を理解することで開発の優先順位をつけやすくなりました。弊社の内製化への挑戦にも着実に近づいていると感じます。定額制で予算も立てやすいし、要望を出してからの対応も早いのは本当にありがたいですね。リソースと相談しながら利用できるのもメリットです。
アプリ開発においては、やはり「何をやりたいか」が一番重要で、私たちのように社内に専門のリソースがない場合は、サブスク開発のようなプロフェッショナルの知見を活用して実現することをおすすめします。
プロジェクトのマネジメントやエンジニアリングを、予算の範囲でサブスク開発と一緒に進めていく体制ができるのも大きな魅力ですね。